介護老人保健施設で入所者を殺害 元施設職員逮捕(茨城)
茨城 老健殺人 無罪主張 水戸地裁初公判「殺害していない」
2025年12月11日
茨城新聞 引用
茨城県の介護老人保健施設で2020年、入所者の高齢男性2人の体内に空気を注入して殺害したとして、殺人などの罪に問われた元職員で無職、A被告(39)の裁判員裁判初公判が10日、水戸地裁(山崎威裁判長)で開かれ、A被告は起訴内容について「私は空気を注入していません。殺害していません」と否認し、殺人罪について無罪を主張した。
公判では入所者2人が他殺かどうかと、A被告による犯行かどうかの2点が争点となる。
起訴状によると、A被告は同県の老健施設で20年5月30日にSさん=当時(84)=を、同年7月6日にYさん=当時(76)=を、いずれも点滴用チューブにシリンジ(注射筒)をつなげて静脈内に空気を注入し、気体で血管が閉塞する空気塞栓(そくせん)による急性循環不全で殺害したとされる。
検察側の冒頭陳述によると、Sさんの静脈などには外部から注入された空気が計123~182ミリリットル以上入っていた。この量を連続的に注入すれば空気の塊が肺動脈に達し、空気塞栓で心肺停止になるという。Sさんの当時の健康状態は良好だった。
さらに、コロナ禍で入館制限があったため、内部の犯行と主張した。約30分の犯行時間帯にA被告はSさんの部屋に2回入り、A被告が周囲に「顔色が白い」と報告した後に職員らが駆け付けると、心肺停止状態だったと説明。ほかに入退室の目撃情報はなく「被告人以外に犯行可能な人物はいない」とした。
Yさんが死亡した当日には同僚がA被告の所持品を確認し、A被告のトートバッグ内に容量20ミリリットルのシリンジ2本を発見。先端に点滴用チューブに接続した際に生じる痕跡があったといい、「そもそもシリンジを所持している合理的理由が全くない」と述べた。
一方で、弁護側は「高齢者施設で入所者が亡くなった出来事であり、殺人事件ではない」と反論。Sさんが当初病死として扱われ、司法解剖されなかったため、「正確な死因の判断は困難」と主張。持病があったことから、「心臓病で亡くなった可能性がある」として事件性や犯人性に疑いが残ると述べた。
公判は入所者2人に対する殺人の罪を分けて審理し、死亡したSさんの審理から始まった。施設職員や医師など約140人の証人出廷が予定されている。被告は21年11月に同県内のスーパーで食料品などを盗んだとして窃盗罪にも問われ、同罪については起訴内容を認めた。
■落ち着いた様子で否認
逮捕から約4年を経て、A被告の公判が始まった。
黒のパンツスーツに白シャツ姿で法廷に立ったA被告。「私は空気を注入していませんし、殺害していません」。入所者2人に対する殺人の罪についてそれぞれ認否を問われると、同じ言葉を繰り返して無罪を主張した。
公判中は弁護人の隣に着席し、机の上に資料とノートを広げて臨んだ。時折、傍聴席に目線を向けたが、正面に立つ検察官が主張を述べると、顔を上げ、落ち着いた様子でじっと耳を傾けた。
A被告は事件後の2020年11月に結婚。夫と子ども1人がいる。中学卒業後に看護師養成の専門高校に進学し、06年から病院で看護師として働くも3年ほどで退職。一時看護師に復帰したが、その後は自宅で生活していたという。
事件があった県内の施設に採用されたのは20年4月。看護師としては約7年のブランクがあった。検察側は「仕事になじめずストレスを抱えていた」と主張し、通院先の精神科医師に職場の不満を漏らすこともあったという。
■傍聴券倍率5.8倍
この日、水戸地裁には17枚の傍聴券を求めて99人が立ち並び、抽選倍率は5.8倍となった。
整理券の配布が午前9時に始まり、30分後に当選者の番号が張り出された。傍聴券を手にできなかった人からは落胆の声が漏れた。
犯行2ヶ月後に婚約…“黒い介護士”35歳、76歳男性を殺害した手口
2021年12月24日
文春オンライン 引用
“黒い看護師”に続き、今度は“黒い介護士”――。
茨城県警は12月8日、介護老人保健施設で入所者のSさん(当時76)を殺害したとして、元施設職員・A容疑者(35)を逮捕した。
「Aは昨年7月、Sさんの点滴に注射器のシリンジ部分を使って多量の空気を注入し殺害したとされています。事件当日、注射器を触るなど不審な動きをしていた姿が目撃されており、その日のうちに自主退職していた。県警は慎重に捜査を進め、今回の逮捕劇となりました」(社会部記者)
茨城県の農家に生まれたA。中学校を卒業後、自宅から車で1時間ほどの県立高校に進学した。
「県内では唯一、5年課程で正看護師資格の取れる学校です。学費も安価で各地から看護師志望の子が集まっていた」(同級生の親)
3年間同じクラスだった友人が証言する。
「ハキハキと自分の意見をストレートに伝える性格で、クラスの人気者だった。成績も優秀なほうでした」
看護師資格を得て高校を卒業したAは、埼玉県内の病院に就職した。20代中頃には、SNSにプライベートの様子を盛んに投稿。特に嵐が大好きだったようで、彼らのライブやパーソナリティを務めていた24時間テレビの募金に出かけたことを報告していた。
〈24時間テレビなう!! 募金~嵐(o^∀^o)〉〈国立競技場♪♪ウハウハです〉
SNSにはアイドルだけでなく、ガンダムカフェを訪れた様子なども興奮した様子で投稿。ガンダム好きが高じたのか、〈女子向けの軍人カフェとか、無いのかな?〉とミリタリー分野にハマった様子も窺える。
「その後も関東近郊の病院などで働き、昨年4月から介護老人保健施設で介護士として勤務を始めたのです」(前出・社会部記者)
犯行の僅か2カ月後に婚約。義父は「今は頭が真っ白」
昨年7月にSさんの殺害に及んだA。だが、その僅か2カ月後の9月、県内在住の会社員男性と婚約を決めた。FNNの取材に義父がこう答えている。
「(昨年)8月に息子が交際相手として連れてきて同居し、いい夫婦(11月22日)の日に結婚しました。今は頭が真っ白です」
結婚当初は義父母と同居していたものの、次第に関係が悪化。今年7月、夫とともに県内の2階建ての借家に引っ越した。
「引っ越して10日くらい挨拶にも来なかったから、地域の区長と一緒にAさんを訪ねたんです。その時は普通に対応してくれたのですが……」(近隣住民)
その約半年後、事件は明るみに出たのだった。Aの実父に声をかけたが、
「警察の指示に従っているので、話すことはありません」
Aは容疑を否認しているが、“黒い介護士”の周囲でも複数の不審死が確認されているという。
「週刊文春」編集部/週刊文春 2021年12月23日号
